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榎谷 一仁(えたに かずと)
その8 「俺がアズワークのストライカーだ。」
小学校時代、ガンバ大阪ジュニアに所属していたという。もしかしたら、もしかしたら、「プロに行っていたかもしれない」。そう豪語するのは、アズワーク製作所の機械課に勤務する榎谷 一仁(えたに かずと)、そのひとだ。
入社して5年目に。突入した。最初の2年間は原田工場長について、いろいろ技術や仕事を教わり、ようやく仕事をまかされるようになった。ナックル加工という仕事だ。もともとからだを動かすことが好きで、高校時代からクルマの整備や機械を動かすことに興味があったという。だから、新しい機械が入ると、操作を覚えるのが楽しくて仕方がないそうだ。
趣味としてのサッカーはいまでも続けている。中学時代の仲間たちと、チーム「神兵(じんべえ)」をつくった。20歳のときから誰とはなしに声をかけあって誕生した、純粋なる(?)草サッカーチームだ。平均年齢は22歳。そのチームで、榎谷はホワードを受け持っている。やはりプロサッカーくずれ(?)だけあって、このチームでも得点王のようなのだが・・・。
試合をするのは、仕事が終わってからの夜。近所の中学校のグランドを借りて試合をする。照明設備があるので、試合をするには問題はない。「うちは強いですよ。いつでも対戦相手を募集してますから、ぜひ連絡してほしい」と榎谷はいう。特にリーグに所属しているわけではないため、同じような草チームを見つけては挑戦状をたたきつける。連戦連破・・・というわけでもないらしい。戦績は? と聞くと、少し声のトーンが下がり「まあ、勝ち越しているかな」というくらいだとか。
もうひとつ、榎谷にはアズワークで誰にも負けないものがある。それは本人いわく、酒豪番付ナンバー1だということだ。アズワークには、酒豪と呼ばれるひとが他にもいる。そのひとの「まず、倍は飲めますね」という。ほんとうかどうか・・・いやいや、本人がいうのだから疑ってはいけない。なにせ、アズワークに入社しなければ、プロサッカーに行っていたかもしれないアスリートなのである。その脚力はいまは少し衰えたかもしれないが、酒を飲むことにかけては、まちがいなくアズワークのエースストライカーのようだ。
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