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トップ > アズワークワールド > こんなもんつくったでえ > 1st その15
1964年頃は、毎日2、3台の頻度でつくっていたのが、ヒンジドフォークである。主として製材所などで丸太や資材を運んだりするのに用いられた。
そのなかでも、このバスケット付きはちょっと特殊で、ヒンジドフォークの応用型である。フォークの上にバスケットを載せる。バスケットを上まで支え上げ、内側の2本のフォークを下に下げることで、バスケットの底の蓋が開く仕組みになっている。納品先は三井金属で、溶鉱炉などに上から材料を投入するために使用するそうだ。
ヒンクジドフォークの特徴をいかした単純な仕掛けだが、使い勝手はなかなかよかった。油圧ホースの配管なども現場で工夫しながら行なった。バルブの留め位置、油圧の調整なども全体のバランスを見ながら決めていく。当時はこうした現場作業が当たり前のような時代であったため、製作者は設計の読み取りはもちろん、長年の経験から細かな部分に対処していかなければならなかった。
だが、その分、「ものをつくっている」という充実感もあった。いまでは精密な設計図面に基づいて工場でパーツを生産し、現場では組み立てるだけとなっているが、こうした現場で一品一品、工夫と改善をしながらものづくりをしていた時代は懐かしくもあり、基本的な手技と熟練のノウハウをさまざまに活用してきた経緯があるからこそ、大型でより精密な一品を製作することができるといえる。
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