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こんなもんつくったでえ 1st その14

その14 奥まった場所にあるケースを出し入れするリーチ付きロードクラブ。

リーチ付きロードクラブ 1964年リーチ付きロードクラブ 1964年リーチ付きロードクラブ 1964年リーチ付きロードクラブ 1964年

UFOキャッチャーをヒントにこのアタッチメントはつくられた。というのは冗談だが、なんとなくそんな印象のあるリーチ付きロードクラブ。1964年にアサヒビールに納品したアタッチメントである。主にビール瓶の空箱ケースを取り出したり、収納したりするもので、製作にあたっては実際の現場を視察した。


リーチ付きロードクラブ 1964年

苦心したのは、伸び縮みするアームのバランスである。ホースを使って油圧コントロールしているのだが、当時はいまと違って油圧バルブの精度がよくなく、またリールの加工も手加工であったため精度があまりよいとはいえなかった。
ビールケースを安全・確実に掴み取るためには、同じ速度でアームが伸び、同じタイミングでケースを掴み始めなければならない。納品するまでに何度か現場に持ち込み、うまくケースが掴み取れるかどうか、実験を繰り返したものである。

リーチ付きロードクラブ 1964年

当時はほとんどのパーツが、現場で加工しながら組み立てていくため、いってみれば、すべてがオリジナルパーツということになる。失敗したからといって、交換できる部品があるわけではなく、その場で手加工しながら、合わせていく。あるとき、夜遅くまでかかって仕上げ、さあ、明日には納品できるというとき、最後の試運転で、アームがパキッと折れたことがあった。あのときは、全員の目に輝いていた希望の灯かりが、「あら、折れた」と泣くにも泣けず、一瞬にしてかき消えてしまった。