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こんなもんつくったでえ 1st その4

その4 工場の梁を切って外へ運び出したスタッキングフォーク。

エアーカー

「空気で動く作業車をつくってほしい」。こんなオーダーは、後にも先にもたった一度きり、たった2台だけ製造した。

 これも日立造船さんの依頼で、TCMさんを通じてのものである。何でも、オイルタンカーの甲板で作業するために使うものだという。エンジン車だと点火プラグの火が、オイルに引火したりすると危険なので、火花の出ない、空気で動く作業車が必要だったのである。

 基本設計は、TCMさんの設計部で行なわれた。動力は、工場でのテスト時にはチッソガスを利用したが、最終的には圧縮酸素で動くことが条件である。暗い場所での作業をするためにライトを装備したが、バッテリーはこれだけだった。

 最初は、空気で動かせる作業車なんてつくれるのだろうかと、不安でいっぱいであった。設計図もあったが、これも他の特注品と同様、つくるうちに、テストを重ねるほどに、仕様はさまざまに変化していった。

 取り組み始めて1ヵ月余り、ようやっとのことで1台目のエアーカーは完成した。時速5キロ、人間が早足であるくほどのスピードで、甲板を自在に走り回る。ウインチを装備したリフト(?)も搭載している。このウインチを使えば、200〜300キロの重量を吊り上げることもできた。

 ただ、最初の1台目では、タイヤに不具合があった。ウレタンタイヤを使っていたのだが、このタイヤが車体に触れて、半分以上削り取られてしまうのである。しかし、その点は別段致命的というものではなく、すぐに改善が加えられ、2代目のエアーカーも製造し、納品した。もちろん、酸素の噴出を動力にした「空気で動くクルマ」である。