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こんなもんつくったでえ 1st その2

その2 工場の梁を切って外へ運び出したスタッキングフォーク。

スタッキングフォーク

 倉庫の積荷と積荷の間に荷台を差し入れ、棚の最上部の荷物を積み降ろしするためにつくったのが、このスタッキングフォークだ。フォークリフトをベースに、フォークのところに左右にスライドするサイドシフト(荷台)をつけたものである。サイドシフトを動かす役割を、ローラーが担っているのだが、このローラーの高さが均一でないと、シートが滑らかに作動しない。その高さ調節が、非常に困難であった。

 日立造船さんで一時利用されたものだったが、これもTCMさんからのルートで受注し、製作した。いちばんのネックは、シフトの高さが4〜5メートルあったことである。一般のフォークリフトをベースにしているため、最上高でサイドシフトに積荷を載せ、しかも左右に動かしてもしっかりと安定させなければならない。そのバランスを工夫するのが非常にむずかしかった。昭和47、48年頃に開発したものだったと思う。

 いまでも記憶に残っているのは、このスタッキングフォークを、自社工場内で組み立てたことである。いざ試運転をしようとしたときのこと。あることに気づいた。その高さである。そう、工場の梁がじゃまして、外に持ち出せなかったのである。

 そこで、工場の梁を切断して、外へ持ち出したわけである。その点は、鉄工所だからそれほどむずかしい作業ではない。切断した梁をもと通り溶接してつなげばいいわけだから。またばらして組み立てるということも可能だが、とにかく考えたとおりバランスが保てるか、均一に保ったローラーは、円滑に動いてくれるのか。そのことのほうが、気がかりだった。

 おかげで、すべて何の支障もなく仕上がった。もちろん、納品については納品先まで部品を運び、そこで組み立てたことはいうまでもない。