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トップ > アズワークワールド > こんなもんつくったでえ > 1st その10
大きなカギのようなアームは、巨人の住む城門を開けるものではございませぬ。伸び縮みするアームは、2m50cmほど。この巨大カギのついたアームで、溶鉱炉のなかを掻き混ぜるためのもの。特殊鋼メーカーである日新製鋼からTCMさんを経由して製作したものだ。
確か1964頃の製作だったように思う。基本図面はいただいたが、当時の図面、特にこのような一品ものは、細部の調整は現場で組み立てながら詰める、という方法でしか完成しない。当時の内部ギアの写真を見ると、「ずいぶん苦労したものだ」とよくわかる。この製品も2、3年使用した後、修理に回ってきたと思うが、そこで初めてきちんとした図面ができあがる、というような状況だった。
アームの伸縮も、360゜回転するカギ先も、すべて油圧式である。配管も経験と勘がなければ完成しなかっただろう。完成させた後、自社で何度もテストを繰り返しながら、苦労して納品したものである。
いくらアーム長が2m50cmあるとはいえ、フォークリフトを運転しながら、溶鉱炉の開口部近くまで接近するのだから、運転手はたまったものではない。運転席には防熱ガラスをつけたが、それでも相当に熱かったことだろう。運転手はそれで我慢できたとしても、タイヤのほうが大変だ。耐熱性の特殊タイヤを装着したが、消耗が激しかったように記憶している。タイヤだけに、リタイヤするのも早かっタイヤ…なんてね。
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