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いっけん、魚雷にも見えるが、実はこれもフォークリフトのアタッチタメントである。RAM(ラム)という名前で、この魚雷のような心棒に新聞や輪転印刷用のロール紙、あるいは電線のコイルなどを差し込んで運ぶためのものだ。
魚雷(心棒)は、直径が約270φ、長さは約4メートル、アタッチメント全体では優に2tを超える重さだ。これだけの大型重量物を生産できるところはそんなにない。一品生産であるために、それ専用のクレーンやリフト、治具をそろえていないのだ。現状の設備を利用しつつ、あとは職人の「腕」でどうカバーしていくかが問われる。日頃からTCMさんからの高度な求めに応えてきた実績から、うちなら製作できるのではないか、という経緯で製作依頼を受けた。今年(2008年)2月に製作したものである。
受注はしたものの、当社とて簡単に仕上げたわけではない。下半分はTCMから支給されたが、先端部分の削りだしは当社で行なった。滑らかな丸みを出すためには高度な技術が必要なのである。しかしもっとも苦労したのは、大きさと重量との戦いである。
心棒を1本に溶接した後、それをフォークリフトの台座(鉄のプレート)に溶接する。しかも、この作業は寝かせた状態ではできないため、2tもある心棒を立てて作業しなければならないのだ。2本のクレーンとフォークリフトを駆使して転倒に気を配りながら、表と裏の両面から溶接を行なっていくのである。
特に台座を上にして作業するときが難航した。台座だけでも1tの重さがあり、この台座を上にして立てるとなると、バランスが非常に悪い。この状態で溶接するためには円熟の技術が必要なことに加えて、ひとつ間違うと職人の生命取りにもなる。クレーンとフォークリフトを操る技術に加えて、緻密な溶接技術が要求されるのである。
しかもこの溶接技術が甘いとアタッチメントは重量に耐えられず折れてしまう。ロールペーパーやコイル芯など、相当な重量物を扱う製品であるため、溶接の不備が納品後の作業事故を招くことにつながる。ここがアズワークの熟練の技術と創意工夫の知恵の発揮しどころであり、品質管理に万全を期しているところでもある。
最初はどう仕上げていこうかと戸惑ったものだが、苦労して仕上げた一品ほどものづくりの自信にあふれているものはない。銀色に磨き上げた魚雷の輝きこそ、アズワークの匠の精神にピカピカ輝いているように見えた。
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